古風な菊花模様が絵付けされた隅入菱形皿は上品ながら、焼成の際に生じる鉄粉混じりの土が温かみや素朴さを与え、親しみやすさを感じます。

柔らかさと華やかさのある隅入の菱形は古くから食器に使われている伝統的な形で、丸や四角が多くなりがちな食卓でいいアクセントになります。今回冷奴をのせているお皿もそうなのですが、どうもわたしはこの形状の和食器に弱いみたいです。

菊花は手描きと判子で一点一点施しているそうで、線の太さや濃淡の違いが楽しめます。特にダミの背景は筆で塗りつぶしているため個体差がより大きくなります。

21cmのお皿はテーブルに花を添えるような煌びやかな存在感を持ちつつ、副菜をのせたらひっそりと馴染んでくれるという一面も。

正直、最初はお刺身くらいにしか用途が思いつかなかったのですが、あれもこれもとのせているうちにほとんどのおかずに合ってしまうことが判明。品数が少なくても寂しく見えず、たくさん並べても浮かない。元々好印象ではありましたが、使っていくうちにますます好きになってしまうお皿です。

いくら使いやすいとはいえ、最初から菱形の大きいサイズを買うのは躊躇ってしまう、という方はまず豆皿をおすすめします。もちろんこちらも職人さんの手作業で作られているためこのお皿の魅力は十分に感じていただけると思います。

直径9cmとかなり小さいですが、意外と汎用性は高く醤油以外にもタレや塩、漬物入れにとなんだかんだ出番の多さに気がつくはずです。

他の器との相性も確認したうえでいけそうならぜひシリーズで。線画きかダミ、サイズによって異なるものを選ぶか統一するかは悩みどころですが、我が家では違う組み合わせで使うことが多いです。