ただの憧れを挑戦に変えてくれた
コンパクトサイズのお重です。
飽きっぽい性格ですが、なんとか10年近く続けられているTwitterのアカウントがあります。
料理や美味しかったお取り寄せご飯など、基本的に大好きな食べ物の話ばかりしているアカウントです。(載せようかも迷ったのですが、あまりにIQの低いツイートばかりだったので今回はやめておきます。)
実際の知り合いなどは一人もいない状態ではじめましたが、ぽちぽちと仲間は増え、”本名は知らないのに、ストックしている食材や好きなお酒の銘柄などは知っている状態”の人がたくさん増えました。
そこで仲良くなった人はあらゆる方法で食を楽しめる人ばかりで、冬至や七草粥など実際に周りではひとりもやっていない季節のイベントを、義務ではなくやりたくてやっているのです。
そんな人たちに影響を受け、挑戦したことはいくつもありますが、そのうちのひとつがおせちなのです。
とはいえあまりにもおせち文化に馴染みがなかったのもあり、すぐにやってみよう!とは到底思えず。
とりあえず”いつか”のためにタイムラインに流れてくる、美しい手作りおせちの画像をせっせと保存する作業を8年以上続けていたわけです。
ところがどっこい、よしやってみるか、と重い腰を上げる大きなきっかけになったのがこの隅切二段重です。
元々ペイヴなど四角形の角を切り落とした形「隅切」の無条件で好きになってしまうという性もありますが、おせち料理の難関「どう詰めていいかわからない」を解決してくれそうなこのコンパクトさが決め手に。
サイズでいうと直径15cmほど。数字でいうと分かりづらいかもしれないので、親指と人差し指をふわっと広げてみてください。大体それくらいの大きさです。大きめの唐揚げだと3個くらいで埋まってしまいそうですよね。
さらにお重なのに二段しかなく、一段でも使える点も非常にハードルが下がります。
作ると決めてしまえば覚悟が決まり、買い物から下準備、詰め作業まで一度もやめたい!と思わず成し遂げられました。
もちろん全ての工程が楽しかった!なんてことはなく、普段は絶対買わないような高級食材の前で立ち尽くしたり、調理が深夜を超えたあたりで踵の痛みに悩まされたり、手間の割にあまり美味しくなかったおかずに腹が立ったりと作業中はネガティブな思考が多かったのも事実です。
ですが、終わった後の達成感・高揚感、何よりお正月に蓋を開けた瞬間、これまでは感じなかった新年のはじまりに対する背筋の伸びる思いを経て、心からやって良かったなと思えたのです。
私と同じようにやってみたいけど何をどうしていいのか分からない…という方は、実際に使った料理などをこちらのページで紹介していますので、参考にしていただけると嬉しいです。
陶器でできたお重は、
ちょっと豪華な器としても。
木製や漆が一般的なお重なので、陶器製というのはなかなか珍しいかと思います。
ですが陶器であることのメリットは非常に大きく、ハレの日用の器として大活躍します。例えばちらし寿司や炊き込みご飯を詰めたり、おむすびやいなり寿司を並べたりするだけでより特別感を演出してくれます。
蓋があるのでそのまま冷蔵庫での保存も可能。別の器に移し替えることなく、そのままレンジで温められます。
先ほども述べましたが、二段重といっても二段すべてを毎回使う必要は全くありません。
また、その逆で段数を増やしたいときも器部分のみを別途購入することで好みの段数にすることもできます。
白と濃藍は二色とも
おかずをやさしく主張してくれます
カラーは木成っぽい白と、濃藍の2色。
ほぼ正反対の2色ですが、おかずを優しく主張してくれるという点ではどちらも優れているため非常に悩ましいところ。
強いていうなら濃藍は色の濃いおかずばかりを並べるには不向きかもしれません。
そのぶん彩り豊かなおかずを盛り付けたときの入れ物に徹する力は素晴らしく、食材ひとつひとつを宝石のように煌びやかに見せてくれます。
普段使いというには難しいかもしれませんが、年に一度の出番では到底収まらないポテンシャルを秘めた隅切二段。
器そのものの良さに惹かれた人はもちろんですが、何かを作る・始めるきっかけとしてこの器を欲しいと思ってくださったとしたら、同じ境遇の者としてこれ以上嬉しいことはありません。
料理・文:Moe Kuriyama(
@moe__meshi_)
写 真 :Yuto Tenjin
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