土鍋っていいなと
改めて気づかせてくれた存在です
祖母からもらった古い土鍋が真っ二つに割れ、三年以上が経ちました。
鍋自体は好きで、冬になると週に2回は最低でも作りますが、なぜか探す気にすらになれず深型フライパンで代用する日々でしたが、平鍋を前にして物欲センサーが反応!
この土鍋だったら欲しい・使いたい…!と思えるものに出逢えたのです。
フォルム自体はスマートかつスタイリッシュですが、板状にした粘土を型の上にのせる「たたら作り」という成形方法だからこそ感じられる、やわらかい曲線・ちょこんと控えめな取っ手・陶器ならではの釉だれや鉄粉(黒い点)など。
手作り感のある形状や、素朴な風合いが 平鍋の何よりの魅力です。
白はクリームのかかった柔らかい色味で、全体的に雪が降り積もったかのようなぽってり感があります。
ところどころ顔を覗かせる素地の赤土が、土鍋全体にあたたかみを与え、食卓を彩る一員としても活躍してくれます。
黒色は少しメタリックな、光沢のある釉薬がかかっており重厚感を感じます。
真っ黒というよりかはブラウンに近いので、他のおかず達と並んでも馴染みます。
久しぶりに土鍋を使ってみて思ったのは、何より気持ちが違うこと。
たくさん具材が入る・カセットコンロがなくても最後まで熱々で食べられる、など利便性のメリットもたくさんありますが、やっぱり冬の土鍋は最高!これに尽きます。
具材を盛るとき、蓋を開けるとき、とんすいに料理を取り分けるとき、締めのおじやを作るとき…あらゆる瞬間で「やっぱり土鍋っていいな」と感じるのです。
国内産地土鍋の8割を占める
萬古焼の実力やいかに。
平鍋は、「萬古焼」という三重県四日市の伝統工芸にも指定されている有名な焼き物のひとつ。
特に土鍋は国内産の8割以上を萬古焼が占めているとも言われており、その優れた耐熱性・耐久性から「割れない土鍋」と呼ばれることも。
もちろんそう呼ばれているからといって、必ずしも割れないわけではありません。
通常の土鍋同様、最初にたっぷりお水を吸わせてから生米を入れて弱火でコトコト。お粥になるまで煮込んだら放置してキレイに洗ってから、しっかりすぎるくらい十分に乾燥させる。この一連の作業を「目止め」というのですがこの準備を行なったうえで、空焚き・急激な温度変化には気をつけましょう。
使い続けるうちに土と釉薬の収縮率の違いによる発生する細かいヒビのような模様、貫入が増えていきます。
はじめはちょっとびっくりしてしまうかもしれませんが、そのヒビを埋めるような形で目止めを繰り返せばむしろ割れにくい”丈夫な土鍋”に育っていきます。
個人的におすすめなのはご飯の後におじやを炊いたり、お米を炊いて定期的にでんぷんを染み込ませてあげること。食事のついでにメンテナンスができて楽ですよ。
サイズは直径21cmほどで、いわゆる7号サイズと呼ばれる規格になります。
2人〜3人で使用するのにちょうど良く、お米を炊くなら 1合〜2合が美味しく炊き上がります。
水の量はお好みですが、我が家では吸水させた2合のお米を420ccの水で、やや強火で10分→弱火で10分→蒸らしで20分でツヤツヤピカピカお米の完成です。
とんすい&れんげも揃えて
冬の支度は万全です
平鍋をきっかけに、お鍋一式を揃えたい方は かもしか道具店の「とんすい」と「れんげ」がおすすめです。
よくよくみると素地の色や、釉薬のツヤ・マット具合は異なりますが、こうして並べてみたときの一体感はなかなかのもの。
消極的理由で夕飯が鍋に決まってしまった日も、ちょびっと家族のテンションが上がる…かもしれません。
料理・文:Moe Kuriyama(
@moe__meshi_)
写 真 :Yuto Tenjin
※このコンテンツの著作権は株式会社LaLa Canvasが保有しております。無断でのコピー・転載・転用は固くお断りいたします。