伝統工芸を存分に生かして
モダンカラーに仕上げた漆器。
ろくろ挽物で国内トップの技術を誇る石川県山中にある白鷺木工さんは、原木の加工から仕上げ挽きまでを一貫して手がけている随一の工房。
約65年前から三世代に渡り、地元の伝統工芸品である山中漆器を中心に木地屋を営んでいます。
しらさぎ椀 siboはぽってりとしたフォルムの表面に、シボ加工が施された漆が塗られた、一風変わったお椀です。
触ってみると木のすべすべ感はなく、まるで硬い革のような、なんとも不思議な感覚。
この"シボ加工が施された漆"は正しくは絞漆(しぼうるし)といい、漆にたんぱく質を混ぜると起こる化学反応を利用した古くから伝わる工法でもあります。
木が丈夫に加工されるだけではなく、滑りにくいという理由から 元々はお盆の裏に施されることが多かったそうです。
絞漆に使われるたんぱく質は卵白が多いですが、しらさぎ椀 siboは同じ地元の手作り豆腐を使用。
化学反応により粘りの出た漆を、丁寧に職人の手によって叩き塗りしています。
SHIRASAGIのお椀のすべては「縦木取り」といい、国内産の木を輪切りにし、その木の断面をカットして使用しています。
横木取りと比べると、一度に作れるお椀の数が少ないため贅沢な取り方とも言われますが、歪みが少なく、木目も均一で美しいものが多いのです。
もちろん和食は大の得意ですが
パステルカラーなら洋も大歓迎。
しらさぎ椀 siboのカラーバリエーションは全8種と豊富。
中の木目はナチュラル・黒・茶・赤と4種類ありますが、どれもスモーキーパステルとの組み合わせは抜群です。
木目を生かしたナチュラルは、グリーン・ベージュ・グレー・ピンクの4色。
スープやポタージュを入れても違和感はなく、洋のしつらえにも合います。
グリーンのみ、ナチュラルの他に茶漆といい中に茶色の漆が塗っていあるタイプもあります。
外から見るとあまり違いはないですが、中を見ると光沢感があり、ナチュラルよりもちょっぴり高貴な印象を受けます。
一方、木目が黒と赤に塗られているお椀たちは、和のイメージは残したまま 堅苦しすぎない雰囲気が。
黒地×赤漆といった この色の組み合わせではちょっと恐縮してしまうような、いたってふつうのお味噌汁を入れても 大袈裟過ぎないかっこよさにまとめてくれるんです。
もちろんハレの日の汁物にも大活躍!
表面がオレンジ・黒のお椀は特におめでたい食卓に合わせると、いつものラフな一面は消え、急に頼もしいかっちりとした印象に早変わり。
本漆は伝統的な工芸品であるという当たり前の事実を、こうしてみると改めて感じます。
ちなみに高台は絞漆ではなく、ナチュラルもしくは漆仕上げとなっているため 裏から見てもツートンカラーを楽しめます。
サイズ展開はMとSの2種類
ふつうのサイズをお求めならMを。
Mサイズは約280ccと至ってふつうのサイズで、Sサイズは約140ccとかなり小ぶりになっています。
汁物・スープはちょこっとだけ飲みたい派の方、もしくはお子様用に。
お子様用としておすすめできるポイントとはサイズだけではありません。
熱いものをよそっても漆の性質上熱が伝わりづらい。絞漆なので傷が目立ちにくく、滑りにくい。
その他にも、内側の持つ側の方を少し厚めに引いてあるため、重心が安定してこぼしにくくなっているなど 細やかな気遣いも詰まっているのです。
最後にお手入れについてですが、電子レンジ・食洗機・オーブンは非対応になります。
また、つけ置きも控え、使用後はすぐに洗って水分を拭き取ってあげてください。このとき花ふきんなど なるべく柔らかい布を使用するのがおすすめです。
料理・文:Moe Kuriyama(
@moe__meshi_)
写 真 :Yuto Tenjin
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