シキとサイで取り扱っている和食器の中には、輪花（りんか）と呼ばれる、花びらを模したデザインの器がいくつかありますが、「ミュゲ」ほど、ひらひらと柔らかなレリーフを持つ器は珍しいかもしれません。

名前の由来である“ミュゲ”は、フランス語で「スズラン」を意味します。

どこか愛らしさを感じさせるコロンとした形状に、波打つ縁取りが加わり、和食器ながら少し洋のニュアンスも感じさせるデザインです。

それでも甘すぎない印象を受けるのは、素地に使われている荒土の力強さが、全体をほどよく引き締めているからでしょうか。

柔らかさの中に土の質感がしっかりと感じられる、絶妙なバランスに仕上がっています。

ミュゲのカラーは、白・紫・薄緑の3色。

どの色も、表面には透き通るようなツヤのある釉薬が施され、控えめながらも上品な光沢が感じられます。

白は、真っ白というよりも、わずかに赤みが差した温かみのある柔らかな色味。

無機質な印象はなく、どこか優しさを感じさせてくれる色なので、料理を引き立てながらも食卓全体を穏やかな雰囲気にしてくれます。

和洋を問わず、どんな料理とも相性がよく、他の食器とも調和しやすいのが特徴です。

紫は、ミュゲのレリーフが最も際立つ色合い。

光の当たり方によって陰影が生まれ、花びらを模したデザインを一層引き立ててくれます。

薄緑は、新芽のような爽やかさを感じさせる色味で、春の訪れを感じさせるような瑞々しさを食卓に添えてくれます。

細かな貫入（細かなヒビ）が見られ、その繊細な網目模様が器全体に落ち着いた気品を漂わせます。