8年間使い続けて、
本当によかったモノなんです。
ついに、ついに8年以上愛用していたタダフサの包丁をついにお取り扱いできる日が来るなんて。
はじめてタダフサを知ったのは2015年のこと。
その包丁らしいシンプルなフォルム・控えめながらかわいらしいロゴ・持ち手のナチュラルな木目。何もかもが理想通りで、絶対に欲しい!と燃え上がったのを覚えています。
専用の箱にかかった紐を解く瞬間は、本当に宝物を開けるような感覚で、パッケージまで至るこだわりにはあっぱれとしか言いようがありません。
薄い紙から現れたマット仕上げの刃に、やっとこ(火箸)のロゴが映えます。
時折波打った刃境は写真で見るよりも美しく、隅々までプロの手仕事を感じ「一生大切にしよう」という気持ちが心から湧き上がってきます。
オールステンレスではなく鋼包丁のため、切れ味は一級品。さらにいうと取り扱いのしやすさ・アフターフォローでいうと他の包丁と比べ群を抜いています。
鋼ではありますが、SLD鋼という比較的錆びにくい素材をステンレスで表面を覆っているため、一般的な鋼包丁に比べたらよっぽど錆びません。
野菜を切って、炒めて、また別の食材を切って…の作業の間であればそのまま置いておいても全く問題ありません。(ただしレモンや漬物など酸味や塩分の強いものは厳禁!すぐに洗いましょう。)
使い終わったらお湯で汚れを落とし、しっかり拭いてからしまう。
この工程もただただ錆びないようにするだけではなく、良い道具に対して敬意を払っている、という感覚があり、むしろ好きな時間です。
料理好きじゃなくともちょっと調理が楽しくなるほどの感動する切れ味と、毎日使ってもストレスにならない使いやすさ。
タダフサの包丁はそこの塩梅が絶妙で、贈り物にも自信を持って勧められます。
ほとんどの人は料理=やらなくちゃいけないものに近いものだと思うのですが、笑ってしまうほど切れ味が良い包丁が手元にあると、料理への見え方が180度…とまではいかなくとも40度ほどは変わるかもしれません。
ただひとつ補足として挙げるなら、この切れ味を長持ちさせるためにもぜひ木のまな板を。
厚みもできれば2cm以上あるものを選ぶと、より包丁にやさしいです。
今は取り扱いがありませんが、いずれシキとサイでも販売したいと思っております。その際はぜひまた紹介させてくださいね。
パンが綺麗にカットできる
波刃じゃないパン切り包丁。
タダフサのパン切り包丁は、波刃が先端にしかついておらず非常に珍しい形をしています。
そのため平刃の部分であれば通常の包丁と同じように研げます。
この形の強みはなんといっても切り口の滑らかさと、パンくずの出にくさ。
波刃の部分でパンを引っ掛けたら、あとは平刃で押し込むだけ。お高めの食パンも、ふわふわ感を残したままスーッと切れます。
とにかくストレスがなく、あれだけ切っておいて欲しいと願った一斤売りの高級食パンも、むしろ好きな太さにカットできるという喜びに変わりました。
また、パン以外の具材が挟まったサンドウィッチなども大の得意。
これまでの苦労が嘘のように、最小限の力で具を散らかさずに切ることができました。
断面もこの通り。
ギコギコと刃を入れるというより、通った刃がそのまま落ちるように切れるため、トマトやレタスなどの水気の多い野菜も全く汁が出ません。
職人さんによる手仕事により、薄く繊細に刃先を研ぎ上げているそうなのでフランスパンのようなハードパンはちょっとコツが入ります。
特にパンに刃を通す時と最後に切り離す際は、必ず先端を立てて真っ直ぐに力を加えましょう。
栗材の持ち手は、太すぎず・細すぎず、短すぎず・長すぎずのほどよいサイズ。
持ちやすいことにすら気づかないという究極にシンプルかつ洗礼されたデザインが、道具としてのカッコよさを引き立てます。
木そのものの質感を残しつつ、炭の一歩手前まで燻す「抗菌炭化加工」が施されているため、菌が繁殖せず腐りにくくなっています。
木材を燻しているので最初は独特の香りもしますが、人工・化学的な香料などではありません。
あたたかみがあり手によく馴染みますが、化学処理・化学塗料・樹脂加工も一切使用していない天然木のため、色合いや木目に大きく個体差があります。
包丁との上手な付き合い方と、
たまに行うとっておきのケア。
包丁は月に1,2回研いであげることで、気持ちの良い切れ味をキープできます。
自分で研いだ包丁が、明らかに切れ味が変わると愛おしさが増し、日々のお手入れにも身が入ります。
毎回やるまでは少し億劫ですが、もうそこは勢いに任せて砥石を水に漬け、やるしかない状況にしましょう。
いざ砥石と向き合うと、全ての雑念は消え去り、ただ一心にこの包丁をもっとよく切れるようにしたいとしか考えられなくなります。
砥石は色々な種類があってどれを買えばいいか分からないという方、ご安心を。
とりあえず基本の砥石セットを購入すれば大丈夫です。もっと鋭く研ぎたいという方はこれに2000番台から3000番台のものを買い足すのがいいと思います。
欠けちゃったものを直したいという方は400番台があるといいですが、そう出番もないのと、技術がいるのでそこはもうプロにお任せしてしまいましょう。
自分で研ぐのにも限界があり、研いでも買ったときほどの切れ味にならないと思った場合もプロにお任せするのがおすすめです。
忠房さんの特徴として 使いやすさの他にアフターフォローを挙げましたが、包丁の入っていた箱に包丁を戻し、付属の問診表にチェックを入れて送付するだけ。
研ぎ直しはペティ550円・万能1,110円・パン切り2,200円とかなりやさしい価格設定で、タダフサ包丁以外も受け付けてくれるので、お家にある包丁をまとめて送ることが多いです。
大体1週間前後で研ぎ直し料金と送料を合わせた額が着払いで届いておしまい。事前連絡も不要なので、思い立ったらすぐにできます。
仕上がりはもちろん言うことなし。本当に自分のかしらと疑ってしまうほど、出逢ったときの美しさで帰ってくるので毎度に驚かずにはいられません。
ただ最近は生意気ながらもぺーぺー研ぎ師としての自我が芽生え、尊敬の念と湧き上がってくる感謝の他にちょっぴり嫉妬しています。
テキスト:Moe Kuriyama(
@moe__meshi_)
写 真 :Yuto Tenjin
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